建設機械/農業機械用特殊アタッチメントの設計・開発・製作、建械/農械部品の販売・レンタル、中古販売・買い取り、整備・修理・メンテナンス

ランニングを始めて5年 フルマラソン13戦目のつくばマラソンで2時間50分切り(サブエガ)に再び挑む〜後編〜

2019年11月26日
SUB50 未知なる世界 2時間50分切りを目指して

今のところ年間を通して、ウルトラマラソンやウルトラトレイル、フルマラソンの挑戦を続けているが毎年11月開催のつくばマラソンは、冬場から夏場にかけて距離を走り込こんでいる自分にとってタイミング的に、最も自己記録を出せる可能性の高い大会としてフルマラソンのメインレースに位置付けている。

どんな種目も大変だが100kmを越える大会の準備はとにかく長距離走、長時間走を行い広い底面積のものを積み上げて行く単純な作業になるが、フルマラソンは大会が近づくにつれ距離を抑え、その分速度を増して行く。積み上げるに連れてその先はどんどんと細くなり、日を追うごとに不安定感が増し少しでもバランスが崩れるとすべてが崩れてしまうほどになる。身体機能の限界を越えれば身体が悲鳴を上げ、大きな故障にも繋がりかねないのだがそのギリギリを狙って準備をしないと良い記録は出せない。年齢を重ねるほど神経を遣う。とにかくぎりぎりまで高く細く積み上げることが唯一、過去の自分(記録)超えを果たす手段となる。短期間での大幅な自己記録更新を狙うのは故障と表裏一体と言っていいかも知れない。

今年は怪我で出遅れた分、少ない1か月の調整期間で限りなく追い込んできた。ただ走り込み不足は否めなかった。怪我明けで再発が怖く、1度に21㎞を越えて走ったのは30㎞走を行った1回だけ。2か月の間に1回というのは今までで初めてのことだ。

今までに無い好材料とすれば、夏前より時折り闘値走を行っていたことだ。平均すると2週間に1回位ではあるが、5,000mを全力で走るというものでこれによりスピードへの慣れが出て来た。8月26日の北海道マラソンでは初めから55分をフィニッシュタイムの目安にしていたが、走れるところまで50分切りを意識した速度で走り、足りない部分の把握に努めた。9月8日には初めて10㎞走の大会に出た。出るからには当然それに見合った練習を行わなければならない。結果的にはこれで脛の怪我をした訳だが、決してマイナスだけでは無く技術的にも精神的にも得るものがあった。その後は怪我で出遅れた分、練習不足を補うために10月27日、11月4日と2回、ハーフマラソン大会で全力を尽くした。

それでも2時間50分切りの記録更新にはいつもと画期的に違うことをしなければその可能性は低い。今回は初めて大会3週間前からテーパーリングを取り入れることにした。走る距離を1週間ごとに約30%減らし、当日に合わせて脚の疲労を完全に抜くというものだ。このやり方や考え方は人それぞれで、絶対に成果が出るとは限らない。精神的な不安や逆に脚が軽すぎてペースがつかめなくなりタイムを落とす人も少なくない。現に自分自身はギリギリまで走り込むことにより精神的な自信や安定、体重維持などの総合的な身体バランスを求めて来た。またどの大会も生涯最高ベストを出すための通過点であるから大きな目線で言うとすべてが練習の延長上であり、そんなことを考えるのはまだ先と思っていた。だが今回は勝手が違う。そんな悠長なことは言ってられない。少ない可能性にでもかけなければならない時だ。

更にスタートまで残り少ない時間の中で一番効果的なのは何かと自分なりに考え、残り10日で減量をすることにした。目指すフィニッシュタイムや個人差で大きく変わるとは思うが諸説、体重1kg落とすとフルマラソンに於いて3分前後タイムの短縮が臨めるとされている。それもそのはず、マラソンは自分の体重をゴールまで運ぶ競技と言っても過言では無い。今回はそれを考えると体脂肪率の変化はあまりないものの、走れない期間にスピンバイクを漕ぎ続け、大腿筋の強化をしたこともありベストの体重からは2kg増だったため伸びしろはそこだと見ていた。テーパーリングを行っているため1kg落とすのも至難の業だがトレーニングを考えるとこんなことは一番容易い。目標のためなら訳の無い簡単な話だ。
その結果...。

5日前から喉の痛み、だるさが出て大会3日前から発熱。そう風邪だ。急激に食べる量を抑えたために抵抗力が落ちたのかも知れない。
「最後にここに落とし穴があったか..」
栄養剤を飲み、食べたい物を食べ体力の回復に努める。スタート地点に立てなければ意味が無い。


レース当日
レース当日の朝はほぼ回復したものの微熱があり風邪薬をのみ会場に向かう。漲るようなパワーは湧き上がってこないが、
「逆に力を入れずに走れていいのかも知れない。もしこれで目標達成できたならその先の記録更新も約束されたようなものだ。」


2日前からDNS(欠場)も視野に入れていたが、ここまでの努力を無駄にはしたくない。ここまで来るのに多くの人の協力や力添えがあったおかげだ。自分事では済まされない。全ては結果。

レースで初めて前半を押さえて走り、ぎりぎり目標タイム(2時間50分切り)を狙う作戦にする。自分としては、大会という舞台で幾度と無く実力以上の結果を出してきた。50分を狙うならそれ以上出せる可能性の秘めた走りをしたいが今回はそれはあまりに無謀だ。唯一目標をクリアする残された道はこれしかないと判断した。表を作成し、油性マジックで腕に各ポイントの予定タイムを書き込む。気温とタイムの相関関係は気温が1度上がるごとに42kmで約1分余計にかかるとされている。例年よりも3度以上高くなる予報だ。2時間50分で走る設定は、既に2時間47分で走る設定になっているとの解釈もできる。

「今は脚力も体力も絶好調の状態ではない。無茶をすれば、途中で大幅な減速どころかDNF(リタイヤ)にもなりかねない。」

【巡航予定表】


朝の気温は15度位だっただろうか、時折激しく降る雨が冷たい。陸連登録をしなかったためBブロックスタートで前方には約2,000人、ゲートまで100m以上あるだろうか。少しでも好位置から走ろうとスタート1時間前からブロックの先頭を確保し号砲を待つことにした。もうここまで来たらやるしかない。寒さで身体を震わせながら色々な思いや今までやってきた場面を張り巡らせる。

「必ず目標は達成する。自分は50分切りどころか本来ならまだその先を狙える実力があるんだ。」
そう強く言い聞かせる。



スタートの号砲
いよいよ神判の時がきた。

スタートからの1㎞はダッシュでロスタイムをできる限り減らし精神安定を図る。そこからは安定軌道にのせ、3'55"/㎞よりも速くならない様に逸る気持ちを抑え低燃費走行に徹する。上り坂は頑張らずに下りで帳尻を合わせて走る。途中、身体の状態にも必ず変化が訪れる。快調な時間帯と厳しい時間帯。

体調が万全で無かったため、3'55"/㎞の速度感はきつく感じた。それでも30km以降の勝負に備え、
「気持ち的にはがんばってタイムを追って走るな。」
と何度も自分に言い聞かせる。


速度をセーブしていることによりあっさりと中間点に差し掛かる。自分の計画より50秒遅く入ったが、十分後半で挽回できるタイムだ。
「無理に計画タイムに戻すために力を使う時では無い。」

道幅が狭く路面の凹凸で大きな水たまりが数多くあり、よけ切れずにバシャバシャとくるぶしまで水に浸かる場面もあったが、こんなことはジャーニーランやトレイルで経験しているためさほど気にはならない。ただ時折路面が滑るため、大きく後ろに蹴り出しているのが解る。脚力の消耗は否めない。

30km
30km以降はさすがにきつい。
毎回この辺りから加速する者と、一定のペースを刻む者と、失速して行く者との分岐点だ。30km付近で女子3位を追い抜きモチベーションも上がる。
「35km地点からが勝負所。ぎりぎり時間との戦いとなるが、慌てるな落ち着け。自分を信じろ。」

気持ちはブレていない。挫けそうな気持ちはポツポツと出てくるが、これまで積み上げて来た大会での実績が裏付けとなり原動力となっている。

35km
時折脚に力が入らなくなる。身体機能としては今日の限界なのかも知れない。それでも自分にはそれをカバーできる精神力が備わっている。
「35㎞、ここからが本当のマラソン。脚が折れても走り続けて必ずゴールをする。」

最後はすべての力を振り絞る。40㎞地点で初めて50分切りを確信する。最後の最後まで力を振り絞る。



ゴール!
2:49'23"

自分自身への約束を果たせた。
約2分ベストタイムを更新し、50分切りという1つの夢の挑戦を終えた。
大きな喜びと同時に万全で挑めなかった自分への悔しさも込み上げてきた。


最後に
今まで支えてくれ、理解を頂いた皆様に心から感謝致します。
本当にありがとうございました。


【記録】

タイム(グロス) 2:49:23
タイム(ネット) 2:49:07
総合順位 224位/15,300人




【今後】
今のままでは、あの時しっかりと準備が出来ていたならまだ良い結果をだせただろうという後悔が残ってしまう。現に手応えを感じている。Sub45(45分切り)をもし達成できる可能性があるとしても、それには1年の月日はかかるだろう。それでも人生をかけて確かめる価値は十分にある。

もう一度初心に返り挑戦をする。

走り始めて7年 ランナーズフルマラソンチャレンジ 2時間45分切りに挑む〜前編〜


次戦
12月8日
伊豆トレイルジャーニー(IZU TRAIL Journey 2019)70km



ランニングを始めて5年 フルマラソン13戦目のつくばマラソンで2時間50分切り(サブエガ)に再び挑む〜前編〜