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初挑戦 2022年第1回弘前24時間走/48時間走選手権 225㎞への挑戦

2022年5月25日
2020年11月7日開催予定だった本大会が中止と延期を経て開催する運びとなった「第1回弘前24時間走/48時間走選手権」。2021年5月に記事に書いたが自身初めての24時間走 弘前24時間走/48時間走選手権に挑戦この大会には並々ならぬ思いと決意がある。

今まで目標としてきたスパルタスロンレースに出場するためには優先エントリー権を得る必要がある。この優先エントリー権を得る自身の唯一の可能性があるとするならばこの種目(24時間走)で、225㎞以上の記録を出さなくてはならい。この記録上限は極めて厳しい。初めて挑戦する24時間走だが特殊な種目てあるため想像があまりできていない。もしかしたら自分には全く適性がないかも知れない。結果如何によっては最初で最後のチャンスになると覚悟を決めていた。

昨年までの2年間は感染症の影響でほとんどの大会が中止になる中これをよい機会と捉え、距離に拘り走り込みを行ってきた。その後、昨年11月から今年の3月21日までは速度強化を中心に行い、フルマラソンでPBを更新した。40歳代最後 フルマラソンチャレンジ 2時間45分切りに再び挑む

4月22日の2022ウルトラトレイル マウントフジ(UTMF)165㎞は不覚にも走行途中でスマートホンを紛失しレース中に失格を宣告され130㎞地点で幕を閉じたが、100位以内の好順位で20時間近く走り続けられたことに一定の手ごたえを得ていた。結果的にはこのレースの失格が、こんな屈辱的な思いは2度としたくないという気持ちがより強い闘志となった。

本番前の20日間は、毎日平均30㎞を走り現時点で最も楽に走れるスピードを何度も検証し、長距離を走ってもダメージが少ない靴の検証も何度も行った。又、食事の量を徐々に減らして行き、走行時の水分補給も最小限としてレースでの摂取時間(タイムロス)を減らす準備を行ってきた。このタイムロスを減らすことが自分にとって大きな鍵であると考えていた。何故なら走行速度や一度に走れる距離をのばすというのは一朝一夕では難しいが、タイムロスを減らすという試みは心構えで改善することが可能であるからである。

2時間走行ごとにこのタイムロスが5分としても24時間全体では1時間となる。1時間は走行距離にして10㎞。とても大きい。自分の極限までタイムロスを抑えるというこの選択はある意味、目標を達成できるか、途中で走れない状態になるかの2択の可能性が大きくなるが、無論その覚悟はできていた。自身にとって225㎞未満の記録はもはや全て同じと言っても過言ではない。何事もリスクを恐れすぎていては大きな成果を得ることはできない。慎重に物事を積み上げて行くことは勿論最も大切なことだと思う。それでもここぞという時には根拠のある大胆さが必要になる。またそうでなければ人生は面白くない。



◎大会概要

第1回弘前24時間走/48時間走選手権
部門① : 48時間走
日時 : 2022年 5月20日(金) 11時スタート〜5月22日(日) 11時タイムアップ(制限時間48時間)

部門② : 24時間走
日時 : 2022年 5月21日(土) 11時スタート〜5月22日(日) 11時タイムアップ(制限時間24時間)

部門③ : 12時間走
日時 : 2022年 5月20日(金) 21時スタート〜5月21日(土) 9時タイムアップ(制限時間12時間)

部門④ : 100㎞走
日時 : 2022年 5月20日(金) 8時スタート〜20時30分ゴール閉鎖(12時間30分)

〇会場
弘前市運動公園 青森県弘前市豊田2-3

〇コース
陸上競技場+外周ランニングコース 1周1.16㎞を周回


目安となる時刻表を作成し、随所で確認しながらその先を微調整し進むことにする。今の自分に重要と考えたのは無理に速度を維持しようとせず、その時々の身体の声を聞き早目早目に楽に走れる速度に微調整しつつ、6時間ごとのタイムテーブルには必ず乗せていくというもの。それには摂取時間(タイムロス)を活用していく。何れにしても150㎞以降は決して楽には走れないだろう。



スタート前

※「ウルトラランナーへの道ブログ」 の中でウルトラプロジェクトの代表である新澤氏が大会の途中経過などについて適時詳細が書かれています。


■スタート

スタートは午前11時。気温は24度前後だろうか。予報では最高気温が26度となっており無理は禁物。脱水には十分気をつけながら楽なペースで進む。想定以上に水、食料、トイレに費やす時間を抑えられている。5分20秒/㎞と計画より20秒ほどペースが速いが、今日の楽なペースを心掛けている。

60㎞付近からは一転疲れを感じ、思い切って6分/㎞に速度を落とす。計画よりも1㎞当たり20秒遅い速度だが、これまでの走行速度を考えると予定のタイムテーブルに戻すにすぎない。食料や水分補給はエイドに立ち寄り好きなものを摂るのに越したことが無いが後半の楽しみとし、できる限りタイムロスを避けることに専念する。スタート前に選手用のテーブルに自分で用意しているスポーツジェルとミネラルウォーターでこの場を乗り越える。すべては計画通りで進んでいる。安心してリラックスした走行を心掛ける。


◎水、食料、トイレ所要時間 (スタート〜100㎞)

  • 24㎞地点(2時間15分) : 2分15秒
  • 45㎞地点(4時間 5分) :   45秒
  • 56㎞地点(5時間 5分) : 2分30秒  
  • 77㎞地点(7時間20分) : 4分00秒
  • 87㎞地点(8時間10分) : 30秒
  • 91㎞地点(8時間45分) : 40秒
  • 100㎞地点(9時間35分) : 40秒

合計 : 7回、11分20秒


(※)表は1㎞ごとのタイム(ペース)と累積時間を示す。青枠は「水、食料、トイレ」を含むタイム。赤線は1時間ごとの明示です。





■101〜168㎞

午後19時を過ぎると陽も落ち、随分と涼しさを感じ始める。15度くらいだろうか。このくらいが一番走りやすい。静寂の中を無心で走る夜のパートが自分にとってはとても好きな時間帯だ。自然に速度が上がりしばしの間これに身を任せることにする。

速度が上がったことにより時間に余裕が生まれたため、エイドステーションに立ち寄ることにする。おにぎり、サンドイッチ、フルーツ、饅頭、ザンギ、みそ汁、お汁粉、コーラ、コーヒー牛乳。食べやすいように小さいカップなどに取り分けられている。腹ペコだからかどれもいつも以上に美味しく感じられる。気持ちもリフレッシュされリスタートする力になる。

1.09㎞の周回なので1周のたびに各箇所にいるスタッフの方々の温かい声援が背中を押し、温かい気持ちになる。又、各々自らと戦う選手の背中にも勇気をもらう。その姿は輝きを放っている。尊いその姿は本当に美しく心が震える。

走る前までは、24時間走は周回走故に記録更新以外の価値は無いものだと勝手に思い込んでいたが決してそんなことは無い。人それぞれのドラマがそこにあり、24時間それを目の当たりにすることになる。時間の経過とともに仲間意識が芽生え、すれ違いざまに色々な人と声を交わすようになる。「ナイスラン!」「ファイト!」「がんばって!」。自らを鼓舞するかのように声援を送る。こんな種目は他に無いかも知れない。


◎水、食料、トイレ所要時間 (101〜168㎞)
  • 105㎞地点(10時間10分) : 4分30秒
  • 124㎞地点(12時間 5分) : 1分30秒
  • 141㎞地点(13時間50分) : 35秒  
  • 153㎞地点(15時間10分) : 2分45秒
  • 159㎞地点(15時間50分) : 30秒

合計 : 5回(累計12回)、9分50秒 (累積21分10秒)




■169〜202㎞

130㎞を越えた辺りから楽に走れる魔法はすっかり解け、厳しい時間帯がやってきた。長距離を走っていると交互にこの波が来る。大抵の場合は粘り堪えていると復活する時間帯が訪れる。「苦あれば楽あり、楽あれば苦あり」 心の中で唱えながら必ずまた復活するはずだと信じ走る。

たまに何を考えながら走っているのかと尋ねられるが、多分6割の時間帯は無心で、2割は自分の身体の状態を探ったり自分自身に激励をしながらご褒美のポイントを作っていくことだろうか。ご褒美と言っても150㎞まで行けば水を飲むとか、あと20㎞走ればエイドのおにぎりを食べるとかそんなことではあるが。あとの残り2割は今までの思い出が回想される。24時間走っていても不思議と時間を持て余すということは無い。スタート地点には自分が通過するたびにテレビモニターに周回数と距離が表示され、大きな時刻板がそこにある。自分の中でスタート時を基準として10㎞か10周か1時間といういずれかの区切りが無い限りは走り続けなければならないというルールを作っていた。このルールは思いの外効果があり、先に進む糧になりロスタイムを減らす結果にも繋がった。

スタートから17時間経過し走行距離は170㎞に達した。時刻は午前4時で少しずつ明るさを増してきた。日の出までのこの時は最も好きな時間帯だ。一気に5分45秒/㎞前後まで再び速度が上がる。復活の時だ。あと数時間で225㎞という目標の決着がつくだろうと思ったが慎重に走行する。突然走れなくなるということは十分に考えられる。


◎水、食料、トイレ所要時間 (169〜202㎞)
  • 176㎞地点(17時間40分) : 4分15秒
  • 180㎞地点(18時間10分) :  40秒
  • 192㎞地点(19時間20分) : 2分10秒   
  • 200㎞地点(20時間 5分) : 1分00秒

合計 : 4回(累計16回)、8分05秒 (累積29分15秒)




■203〜ラスト㎞

午前7時すっかり陽は昇り気温が上がってきた。これまでにスタートから20時間が経過し、残りは4時間となる。ここが一番重要なところだ。200㎞で一度呼吸を整えたが、もう魔法は切れかけている。ここからが真の自分との戦いと気持ちを引き締め直す。明るくなってからはひと際スタッフさんからの応援が大きくなり背中を押してくれる。感謝の気持ちでいっぱいだ。声援に応えるためにもダレた走りはしたくない。

あと少しで自分の目標は達成される。一度はあまりに高い壁で諦めかけた目標。信じて行動を起こし続ければ必ず道は開かれる。

終了時刻1時間前の午前10時過ぎ、目標の225㎞に達した。あとはどこまで行けるか最後の最後まで精一杯走り切ろう。


◎水、食料、トイレ所要時間 (203〜ラスト㎞)
  • 205㎞地点(20時間40分) : 3分10秒
  • 215㎞地点(21時間50分) :  50秒
  • 224㎞地点(19時間20分) : 3分20秒   

合計 : 3回(累計19回)、7分20秒 (累積36分35秒)


日差しが真上から注ぎはじめたころ、その時は訪れた。午前11時 24時間の終了の合図。

最後までやり遂げた。

ありがとう。


■結果
  • 総合 第2位
  • 213周 232.734㎞





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