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第7回奥三河パワートレイル70km 9時間30分切りへの挑戦

2022年4月14日
ウルトラトレイル・マウントフジ(UTMF)165㎞に出場する前の調整レースとして臨んだ「奥三河パワートレイル70km」。中・上級者向けとしてミドル級では国内屈指のハードコースとして知られる。

山に最後に入ったのは昨年2021年11月20日の「第7回 FunTrails Round 秩父&奥武蔵100K(FTR100)」以来となる。

2021 第7回 FunTrails Round 秩父&奥武蔵 100K(FTR100K) 20時間以内の挑戦

それまでは、フルマラソンの自己記録の目標タイム2時間45分切りのために3月21日の「第1回ランナーズフルマラソンチャレンジ2022in板橋荒川河川敷」までこれに集中してきた。

40歳代最後 フルマラソンチャレンジ 2時間45分切りに再び挑む

2週間で山を走れる脚を取り戻さなくてはならない。

まだ山は雪があり思うように走れず、平日のトレーニング時間を概ね2時間(昼食や休憩時間を削り捻出する分は加えない)と自分なりに定めていることもあり、まずは自分に見合った効率のよい計画を立てる。この練習計画は短時間で筋肉痛を引き起こし、筋肉痛が癒えないままの状態でこれを連日続ける。極度の筋肉痛で走る20㎞は70㎞や100㎞以降の脚の状態ようにきつい。これにより疑似的トレーニングができ、苦しさに対する耐性が付く(思い出す)ように思う。レース直前の数日前からは練習の負荷を下げ、壊れた筋肉組織の超回復を狙う。今回は4日前から練習の負荷を少しずつ下げ疲労した筋肉の回復に努める。4日では完全な疲労回復はしないが、このレースに臨む趣旨を考えると逆に都合がいい。

【練習計画】
  • 峠走/毎日2週間(21㎞、標高400m)
  • 室内バイク/3日おきに3回(60分、立ちこぎでないと漕げない強度)
  • 中距離走1回(55㎞)
  • モエレ山 50往復(標高35m/階段242段×50、累積標高+1,758m)

昨年の11月のFunTrails Round 秩父&奥武蔵100Kの時も、夏から秋にかけて膝の怪我で山に入るどころか思うように走ることすらできず大会2週間前に同様の練習を行った。

モエレ山(札幌)


奥三河パワートレイル70km


【位置図】




【コース図】




【標高図】




【大会要項】
  • 大会名 : 奥三河パワートレイル
  • 開催日 : 2022年4月10日(日)午前6時00分スタート
  • 開催場所 : 奥三河地域(新城市、設楽町、豊根村、東栄町)
  • コース : 距離63.4km、累積標高+3588m、−4620m、ピーク数46
茶臼山レストハウス前〜茶臼山山頂〜津具高原牧場〜津具高原グリーンパーク〜面ノ木峠〜面ノ木牧場〜碁盤石山山頂〜笹暮峠〜タコウズ川林道〜設楽大橋〜小松集落〜岩古谷山山頂〜鞍掛山山頂〜四谷千枚田〜仏坂峠〜宇連山〜棚山高原〜鳳来寺山〜鳳来寺〜門谷地区
  • チェックポイント : CP1 14.6㎞、CP2 23.4㎞、CP3 37.5㎞、CP4 47.2㎞、CP5 54.3㎞
  • 制限時間 : 13時間30分


レース4日前から身体への負荷を下げるのだがぎりぎりまで筋肉痛が続き、予定通りに痛みは収まるのか心配になる。とても山を走って下れるような状態ではないからだ。前日には痛みの8割方は取れた。疲労感はある。ただ65㎞ではあれば不安は全く無い。それ以前にこの大会で身体が悲鳴を上げるような柔な身体なら、ウルトラトレイル・マウントフジ(UTMF)165㎞を30時間以内/100位以内の目標を叶えることなど到底できない。涼しい顔で走り終えられなくてはならない。


目標 : 9時間30分以内、40位以内





【スタート】

609人が6:00 Start! 



先日のフルマラソンで初めてネガティブスプリット走法を試し結果が出たことから、今回も同様に中盤のCP3(37.5㎞)までは8割方で走り後半を勝負所と決めた。中盤までは下り基調が続くため速度を上げたいのを抑えて淡々と走る。


4カ月ぶりのきつい上りに20㎞までは厳しさを感じたが、30㎞くらいを走るとようやく身体が順応しはじめ今回も行けるという自信が漲ってくる。久しぶりの山の感覚と景色を楽しみながら、自分の順位をある程度把握しながら走る。トレイルの場合はロードレースと違い、予めペース表を作成し実行することは難しい。山の起伏や道の凹凸により速度や疲労度は変り、気象によっても足場の状況が大きく変化する。自分のように試走もせずに初めての山に入るとなれば行き当たりばったり感は否めない。そのため現在の順位を知ることが大切になる。予め過去のレースのリザルトを確認し、順位とゴールタイムの関係をチェックしておく。この相関関係は極端な雨や猛暑など気象の変化がない限りは毎年おおよそ一致してくる。


チェックポイントCP3(35.7㎞)を過ぎしばらくしてコース脇の人から「現在30位、前方数分内は団子状の混戦状態。またまだ大きくランクアップできる可能性があるよ。ここからここから」と有難い情報と激が飛ぶ。レース中はこのような情報はほんとうにありがたい。俄然力が湧く。

「20位前後でフィニッシュするのは今日の状態であれば可能性はある。予定より少し早いがここで速度を上げ、前方の集団の背中をCP4(47.2㎞)までに見たい」

CP4(47.2㎞)手前でコース分岐に立つスタッフから「チェックポイントまで残りは全て下り」と掛け声をかけてもらう。時計を見ると残り2㎞だ。すぐ後方に先ほど抜いた選手もぴったりついてきていることから加速する。快調に飛ばし残り1㎞のところでコースの目印を見失う。立ち止まり少し引き返す。引き返すにはかなりの急坂だ。後方からきた選手と会話をする。「間違えそうな分岐は無かったと思うがどうだろうか。スタッフの人が途中全て下りと言っていた。この坂を下りて行くか、それとも引き返すか」

二人の結論は坂を下りるということで決まった。気温はとっくに20度を超え引き返したくないという気持ちが強かった。そこからさらに下りチェックポイントがあるはずのCP4(47.2㎞)に到達したことを時計で確認する。やってしまった。絶対に避けなければならないミス。1㎞の急坂を引き返さなければならない。もう一人は完全に戦意を喪失している。無理もない、引き返すのに15分以上はかかる。あまりに致命的だ。日差しが熱い..。自分も数分歩き考える。「タイムを諦め完走を目指すか、もう一度ここから気持ちを仕切り直し順位を狙うか」

何のためにここにいるかを考えると答えは明白だった。「一度リセットし、ここからもう一度新たな気持ちで戦う」
とぼとぼ歩いている後ろの選手を横目に再び走り出す。「人は逆風のときにこそ真価が問われる。これから165㎞の大会を出ようとしている人間がたった15分のことで何を迷うというのか。招いた失敗は自ら取り戻せ」そう自分に言い聞かせる。CP4(47.2㎞)に到着し覚悟を固める。同様にコースロストした選手の到着を見届け軽い言葉を交わしたのちスタートした。

このレースでは本番となる本格的な険しいコースに突入して行く。



もう迷いなどどこにもない。一人ずつ前方者を捉えひたすら前に進むだけだ。木々が無く直射日光が当たるコースに出るとひどく暑い。真夏のようだ。脱水にだけは注意し、おおよそ10㎞ごとにあるチェックポイントでは持参しているハイドレーション(600ml)2本に必ず給水する。次のチェックポイントまでの距離とアップダウンががどの程度なのかをイメージしながら飲む水量を調整する。チェックポイントまでの距離だけを考えれば必ず給水計画は失敗する。上りと下りでは身体が必要とする水分量が全く異なるからた。だからといって必要以上の水量を持つと後半は特にその重さで体力が奪われる。CP5(54.3㎞)地点でスタッフの人から「今日は今年最高の27度ですよ」と聞かされる。どうりで暑いはずだ。数日前、地元では日中雪が降ったというのに。ただこれも良いようにとらえていた。「2週間後の大会には最高の予行練習だ」



CP5(54.3㎞)を通過しゴールまで残り10㎞。一気にギアを上げる。上る脚はかなり疲労しているが、下りと平地を走る脚はまだまだ余裕がある。それと1名後ろをぴったりと追走してくるゼッケン48番の後ろからの圧力も力となる。途中、前に出ることを勧めたが前を走る脚はもう残っていないと言われ最後まで自分が先導する形になった。

ゴールまで残り2㎞。48番に「あなたがいてくれてラスト10㎞で10人位を抜かす最高に良い走りができました」と声を掛ける。相手からも同様の言葉が返ってくる。最後は二人同時にゴールしようと決める。




ゴール!



ゴール後に48番と固い握手を交わした。最高の1日だった。



【記録】

タイム 9時間45分39秒
総合 29位 / 609人
40代年代別8位






次戦
ウルトラトレイル・マウントフジ(UTMF)165.4km、累積標高+7,577m/−7,619m
2022ウルトラトレイル マウントフジ(UTMF)165㎞ 30時間以内の挑戦