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2019伊豆トレイルジャーニー(ITJ) 68.3km 初めて伊豆の山々を駆ける〜後編〜

2019年12月16日
山を駆け巡る68.3㎞ 累積標高3,320m TOP100位内の挑戦

本州の初めてのレースは田舎者にとってスタートラインに立つのも大仕事。でもこれが楽しみのひとつでもある。13時に羽田空港で友人と落ち合い、【京急空港線で横浜→JR特急踊り子で終着駅の伊豆市修善寺→バスで松崎町→徒歩10分で受付会場の松崎町農村環境改善センター】へと向かう。


到着は17時過ぎ。受付で装備品チェックを済ませほっと胸を撫でおろす。


外のブースにはあの世界最高峰ウルトラトレイルモンブラン(UTMF)で3位など輝かしい成績を残し、今尚現役で挑戦を続けるレジェンド鏑木毅さんがオーラを放っていました。


ここからシャトルバスで20分。大会窓口で事前予約しておいた民宿へ。19時に着いたときには相部屋の他の5人はくつろいでいる様子。大急ぎで食事とお風呂を済ませ、明日の持ち物チェックは朝にやることにして21時消灯...。宿への到着時間を考えて相部屋の選択をしなければいけませんね。食事は豪華で大満足でした。


翌朝3時に起床し、旅館で準備してくれた朝食のおにぎりを食べ4時発車のシャトルバスに乗りスタート地点の松崎新港へ。外気温は5度前後だろうか。スタートまで1時間半。海岸沿いのため吹き付ける風が冷たい。とにかく寒くて早く走りたい。



スタートの時

6時スタートの30分前に前方から20列目位に並ぶ。今回は序盤を抑え、第2エイドのA2(40.2km)からギアを上げる作戦。後半に順位を落としていく走りは気持ち的にも楽しさが半減してしまう。それ以外に何の戦略も立てていない。今回はどんなドラマが待っているのか。
「自分の感じるままに時間を気にせず走り抜こう。」


スタートの合図とともに先頭集団は水を得た魚の様に一斉に飛び出す。


今回は台風の影響でコース変更によりトレイル率は6割。残りはロードの峠走だ。スタートからすぐに標高400mの峠を上り、下った先がエイドステーションA1(13.5km)地点で、その後17km間で標高700mを上った先が2つ目のエイドステーションA2(40.2km)となる。はやる気持ちを抑えA1で補給をし、胸のフラスコに1ℓ補水をする。この時点で十数人に先に行かれたが慌てはしない。この一年で積んだ経験は大きい。
「まだまだ先は長い。」



20㎞地点

北海道のトレイルの大会でいつも上位に名を連ねる自衛官のOさんが追いついてきた。北海道ではトレイルランナーであれば知らぬ人はいないだろう。自分自身もOさんをリスペクトしているうちの一人だ。
「一体、山に入るとどんな走りをするのだろう。最後まで食らいついて行きたい。」


並走できる喜びが何よりも上回り、もうそこからは楽しくて楽しくて仕方がない。自分のペースでは無いながらも必死で後を追い、走り方のコツを学んでいく。考えてみると今までトレイルランナーと並走したことは練習を含めて一度も無い。

上りで間合いを詰め、一人また一人と抜かして行く。十数人は抜いただろうか。
気がつけば50km過ぎまで来ていた。



疲れも忘れてしまうほどの絶景。



ラスト14km

54km地点からは累積標高3,000mを上り終え、ほぼ下りでゴール会場に向かう。レース中盤からはトレイルコースが大半を占めており、この下りも柔らかい足場の山道が多く脚への衝撃が少ない。今までのレースでは必ずと言っていいほど後半のラストの下りで順位を落としてきたが今回は余力も残している。



ラスト3km

最後の数キロはこのレースを回想して喜びを噛みしめながらにこやかにゴールしようと決めていた。だがそうは予定通りに事は運ばない。ラスト3㎞で黒ゼッケン(招待選手)に交わされ、後を追うも自分がフルマラソンで走る速度で走る黒ゼッケンにはさすがに追いつけず諦める。気を緩めた矢先に更なる伏兵が後方数メートルに迫ってきた。猛烈な速度で差しにかかっている。2度はあってたまるかと全力疾走で逃げ切りを図る。
「こんな激しい3㎞の山場が待っていたなんて。」

「いい加減諦めろ!」と心で叫ぶが、相手は一向に諦める気配はない。お互いどんどん加速し最後の1kmは時計を見ると4'30"/㎞で走っている。

あまりのデットヒートにゴール手前500mの歓楽街を歩く観光客から一際大きい歓声を浴びるがそれに応える余裕など微塵もない。足音からして後方5mにはやつがいる。最後の坂道を上り橋を渡り階段を下り、最後の直線も全力で走る。


ゴール!

最後は2秒差で逃げ切りテープを切った。
もう完走したレースの余韻というより勝ち切った喜びが勝っていた。どこの誰かも知らないが(笑)

ゴールに立っていたレジェンド鏑木毅がこの様子を見ていたのかすぐに「ナイスラン!」と駆け寄り握手を求めてくれた。思い出深い最高のゴールとなった。




【記録】

7時間48分43秒
総合 58位/1,441人
男子 55位/1,239人






来年は4月24日開催のフジウルトラトレイル(UTMF)161km、累積標高7,580mへのエントリーが確定し国内最高峰のトレイルレースに挑みます。悔いの無いよう日々小さな努力を積み上げて行きたいと思います。

There is no future in the past.
「過去の中に未来はない」


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